福島隆史のCSRエピソード | 株式会社サステナビリティ会計事務所(SusA)

CSRコンサルタント福島隆史が、CSR報告書の読み方や考え方、 重要な用語の説明やエピソードを毎日更新します。 企業のCSRご担当者の方や、ステークホルダーの皆さまがCSR報告書について知見を深めていただければ幸いです。

*

日本の統合報告の現状は合冊報告です。

   

海外の統合報告と、日本の統合報告の、見た目の大きな違いは、
日本の統合報告には、CSRの章が設けられていたり、
特集の章が設けられていたりする点だと思います。

でもそれって、生い立ちを考えれば当たり前。

これはよく言われていることですが、
日本の統合報告というものは、
アニュアルレポートとCSRレポートの合冊であることが、
いわば基本形となっています。
それがよいことなのか悪いことなのかという議論はここでは置いておいて、
実態としてはほとんどそうなっています。

アニュアルレポートは、
社長メッセージ、
セグメント別業績報告、
ガバナンス報告、
財務セクションによって構成されています。
一方でCSRレポートは、
社長メッセージ、
特集や、
ステークホルダー別報告などで構成されています。

これらを単純に足し算して、以下のように構成すると・・、

社長メッセージ、
特集、
セグメント別業績報告、
CSR報告(ステークホルダー別報告)、
ガバナンス報告、
財務セクション。

これで現時点、なんら恥ずかしくない統合報告の出来上がり、です。

社長メッセージのみ合成しますが、
いわゆる有機的結合、なんてものではなく、
Q&Aで構成する問いの最後の位置づけで、
貴社にとってのCSRとは、という問いかけを作り、
それに回答する、
という形で締めくくられます。

上記のように合冊を統合といっているぐらいならまだましなほうで、
どうみたって会社案内かパンフレットの類いでしょう、といったものまで、
統合報告と見なされているケースもあります。

統合報告というものにしっかりした定義など、
少なくとも実務界では未だ確立されていないようです。

 - 統合報告書

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